研究実績の概要は下記の通りである。 1.超音波風速計、温度計及び気圧計を使用して自然風に関する諸量の変動特性を同時測定した。その結果、以下の知見を得た。 (1)水平方向風速は、長周期(低周波)の変動の中に短周期(高周波)の変動が重なった構造になっている。 (2)鉛直方向風速は水平方向風速より小さく、また、乱れも小さい。夏季においては地面で熱せられた空気が上昇し、上昇流が生じ、従って、夏季の値は秋季、冬季より大きい。 (3)気温の比較的短周期の変動は、風向の変化による。 (4)気圧の変動は、比較的高周波であり、夏季の変動が大きい。 (5)水平方向風速の乱れ強さと鉛直方向風速の乱れ強さは、水平方向の平均風速が大きくなると増加する特性がある。 (6)風速変動スペクトルのエネルギー小領域のピーク周波数から求まる変動周期は、水平風速の長周期変動と一致し、自然風のエネルギーは低周波側が大きい。 2.自然風によるリンゴの揺れは、2台のCCDカメラでステレオ撮影し、それを画像処理して求めた。その結果は下記の通りである。 (1)自然風によるリンゴ果実の変動は、前後の変動が大きく、上下・左右の変動はそれに比べ小さい。 (2)自然風によるリンゴ果実の変動は、風速の大きさよりも、風速の変動の大きさに関係する。 (3)風速が強い時は枝は大きく揺れないが、風速が弱まったとき力が解放され揺れる。従って、枝揺れやそれにともなうリンゴ果実の振動は風の息に関係する。 (4)防風ネット背後でのリンゴ果実の変動は、風速の強弱、変動に左右されない。
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