研究概要 |
'95年9月〜'96年10月の間,樹脂容器に一定密度でケンタッキーブルーグラス個体を定植した模擬草地に2および4週間間隔で刈取りを繰返す2週間刈区および4週間刈区を設け,それぞれ収量,茎数密度の推移を追跡すると同時に,模擬草地および放牧草地から適宜個体を堀取り,直立分げつおよび根茎の発達状況を形態観察した。 (1)模擬群落は造成直後から旺盛に分げつ発生し,当年12月には20000茎/m^2の高密度を形成した。冬期間にも分げつは継続し,1996年4月の1番草時には茎数密度は30000茎/m^2に達した。しかしその後は分げつ発生は休止し,茎数は漸減した。夏期の高温下では多数の株が枯死し,茎数密度は急減した。気温の低下とともに残存株から分げつが多発し,茎数密度は急増したが,初年度水準には回復せず,年間を通した安定生産を行う上で夏期の密度確保が重要であることが示唆された。茎数密度と平均1茎重との関係は,第1年秋期からペレニアルライグラスで提起されている最多密度線近辺に収斂したが,4週間刈区ではしばしばこのラインを越える生育をし,本草の優れた密度維持能力が確認された。(2)夏期の密度低下によって1996年秋期の収量が低く抑えられたにもかかわらず,2週間刈区でも年間乾物収量が1600g/m^2に達し,頻繁な剪葉条件下で生産力が高いことが認められた。その上,1茎当り生長速度も季節的変動が比較的少なく,密度が確保されるならば,収量が安定的に推移し,放牧用牧草としての適性が高いことが確認された。(3)既存の分げつのある葉nの出現が2節下の分げつの第1葉出現と一致する規則性がしばしば観察され,また,規則的な分げつ発生が抑制された節位には,根茎様の休眠芽が多数生じた。特に,既存の直立分げつの短縮節間基部からは多くの根茎が生じ,葉身を持たない鱗片葉を形成しながら10〜15節間程度を伸長させて横走の後,規則的に直立分げつ化しており,直立茎化した分げつでは,再度規則的な分げつ発生が繰り返されること共々,密度形成に有効に機能していると考察した。
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