研究概要 |
高消化性・褐色中肋型牧草の作出を目的として、牧草の低リグニン化を目指し、以下の実験を行った。 1.形質転換系の確立 アグロバクテリウムLBA4404にプラスミドpBI121(pnos/NPTII/Tnos+35S/GUS/Tnos)をフィルターメ-ティング法により導入して培養後、バーズフットトレフォイルに感染させた。この場合、LB液体培地を用いて良好な結果を得た。また感染子葉からのカルス形成率および植物体再生に対する培養条件を、特に植物ホルモン濃度の点から検討し、効率の良い形質転換系を確立した。 2.形質転換体の確認 1.で得た形質転換体からゲノムDNAを抽出し、PCR法によって導入遺伝子の確認した。また、GUS染色およびGUS活性の測定の結果、GUS遺伝子の発現は個体間,器官間でかなりの差異があることを認めた。 3.アンチセンスCAD(シンナミルアルコールデヒドロゲナゼ)遺伝子の導入 ウドCADcDNAの塩基配列をもとに、PCRによって2つの制限酵素認識部位を連結したCADDNA断片を増幅し、これをバイナリーベクターpGAH/SL-GUSに逆方向に配列するように挿入してプラスミドpGAH/anti-UCADを構築した。次いで、バーズフットトレフォイルの子葉にアグロバクテリウムを感染させて形質転換を行った。 4.導入遺伝子の確認と発現解析 3.で得た耐性カルスから再生した植物体について導入遺伝子の確認をPCRで行った結果、プラスミドと同位置にバンドを認めることが出来た。これらの植物体のCAD活性は対照個体のそれより有意に低かったが、リグニンとアルデヒドの含量および反芻胃内微生物による消化率には有意な差が認められなかった。
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