研究概要 |
パルマハムからアセトン(75%)によりヘム色素を抽出し,その吸収スペクトル解析を行った。アセトンに可溶性である既知のニトロソミオグロビンは,395,467,535,および563nmに極大吸収をもつが,パルマハムのアセトン抽出液はこれとは異なり,417,546および584nmにそれぞれ強い吸収が認められた。また,パルマハムの赤い色調は加熱後も保持され,アセトン抽出液のスペクトルパターンは加熱前後で全く変化しなかった。このアセトン抽出液について安定性試験を行った結果,ニトロソミオグロビンの場合は冷暗所においても12時間以内に急速に退色して不安定であったのに対し,パルマハムのアセトン抽出液は4℃・暗所において7日後でもその吸収スペクトルに全く変化はみられなかった。また,電子スピン共鳴(ESR)法によってパルマハム中に一酸化窒素のヘム錯体は存在しないことが明らかにされた。一方,パルマハムより細菌(471株)を分離して調査した結果,その中に赤色ミオグロビン誘導体転換能を有するものがスクリーニングされ,発色剤無添加でもパルマハムが赤色化する現象に細菌が関与していることが示唆された。
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