研究概要 |
前年度のインビトロの研究結果から、牛、ヒト、ラットのGRFおよびこれらの誘導体は牛のGHを放出させること、またその放出能はペプチドの構造上の違いにより、差のあることがわかった。そこで本研究では、次に、平均7.5か月齢の雌子牛にbGRF-44、bGRF-29、[D-Ala^2,Ala^<15>]-bGRF-29、[D-Ala^2]-hGRF-29およびrGRFを直接静脈内に投与(0.25μg/KgBW)してインビボでのGH放出反応を調べた。5種のGRFとも血漿中GH濃度を投与後急激に上昇し、10分から20分後に最大値を示した。血漿中GH濃度は最大値を示したのち徐々に減少した。この減少形態は[D-Ala^2,Ala^<15>]-bGRF-29を除く4種ではほぼ同様で、GH濃度は投与150分から180分後に基礎濃度に戻った。[D-Ala^2,Ala^<15>]-bGRF-29では80分から180分におけるGH濃度の減少は他の4種に比べ緩慢で180分後においてもGH濃度は対照区に比べ有意に高い値を示した(P<0.05)。GHの放出反応をAUCで見ると、60分から120分の間で[D-Ala^2,Ala^<15>]-bGRF-29はbGRF-29、bGRF-44およびrGRFより有意に高い値を示した(P<0.05)。また120分から180分の間では[D-Ala^2,Ala^<15>]-bGRF-29は他の4種に比べ有意に高かった(P<0.05)。以上、本研究の結果から、[D-Ala^2,Ala^<15>]-bGRF-29は牛GH放出能がきわめて高いこと、またこのほかの4種のGH放出能はインビボでは明らかな差がないことがわかった。
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