研究課題/領域番号 |
07660372
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
細見 修 群馬大学, 医学部, 助手 (30134274)
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研究分担者 |
中島 たみ子 群馬大学, 医学部, 助手 (40008561)
安田 年博 群馬大学, 医学部, 助教授 (80175645)
岸 紘一郎 群馬大学, 医学部, 教授 (30169841)
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キーワード | Phospholipid / ganglioside / hemagglutination / hemolysis / immunoglobulin |
研究概要 |
哺乳類の血液中に存在するレクチン様糖タンパク質が、リン脂質やガングリオシドに親和性を有し、異種赤血球を凝集したり、グラム陰性菌に結合することを明らかにしてきた。このレクチン様物質は、既に我々が明らかにしたウサギを始めとして、哺乳類全般に存在することが予想された。そこで、我々はヒト血清中における同様のレクチン様物質の分離・精製を行い、その生化学的及び免疫学的性状を明らかにした。 ヒト血清由来のレクチン様物質も市販のSephacryl Sシリーズゲルに吸着し、1%アンモニアを含む緩衝液で容易にゲルから解離された。さらに、ゲル濾過法やイオン交換クロマトグラフィー等を用いた精製法により、分離されたタンパク質はある種のリン脂質に結合し、SDS-電気泳動法による解析から、80KDaと28KDaのサブユニットからなることが明らかになった。このレクチン様糖タンパク質は、モルモット補体の存在下で異種赤血球を強く溶血することから、補体結合ドメインを持つことが示された。さらに、この物質は同種赤血球をも弱く溶血することが確認された。また、80KDaバンドのペプチドは、その一部のアミノ酸配列の解析によりIgMのH_V領域に高いホモロジーを示した。 これらの結果から、哺乳類の血液中に存在するリン脂質やガングリオシドに親和性を持つレクチン様糖タンパク質は、動物が本来から備えているIgMの一種であることが示唆された。さらに、異種血液に対して速やかに反応し、補体を活性化してこれを破壊することから、生体でも病原性微生物等の進入に際し、感染の初期段階でこれらの拡散や増殖等を阻害するものと考えられる。一方、同種の細胞に対しては加齢或いは障害を受けておれば、それらに弱いながら結合し、補体と共同して血流から取り除く働きがあるものと考えられる。また、自己免疫疾患では、しばしば抗リン脂質抗体が出現するが、我々が見出した抗体との関連性は明らかでなく、その生体内における作用が注目される。
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