卵胞退行における顆粒層細胞のアポトーシスの役割とその制御機構

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07660379
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 眞鍋 昇 京都大学, 農学部, 助教授 (80243070)
• キーワード: 顆粒層細胞 / 卵胞選択的死滅 / プログラム細胞死・アポトーシス / ブタ卵巣 / TUNEL組織化学 / モノクロナール抗体 / レシチン細胞化学 / 細胞膜結合糖鎖

研究概要

哺乳類の卵巣における卵胞の選択的発育と死滅に、顆粒層細胞のプログラム細胞死(アポトーシス)が深く関与している。卵胞の選択機構を明らかとすべく進めている研究の一環として、ブタ卵胞を材料とし、顆粒層細胞にアポトーシスを誘導・制御する分子機構を調べている。
本年度は、細胞膜表面糖鎖と蛋白の構造変化を明らかとするため、細胞膜結合糖鎖を認識し、螢光抗体法にてTUNEL陽性のアポトーシス進行中顆粒層細胞を特異的に染色できるポリクロナール抗体を作成した。この抗体とConA等の各種レクチンを用いてアポトーシスに伴う細胞膜表面糖鎖の変化を組織細胞化学的に解析した。並行して細胞膜表面糖鎖構造の変化を検出するモノクロナール抗体を作成し、これを用いてアポロ-シス細胞に特異的に発現糖鎖の検索を進めた。さらに2次元電気泳動法にてアポトーシスに伴う細胞膜蛋白組成の変化を調べ、糖鎖を糖鎖配列認識酵素にて切断後HPLC法にて構造の変化を分析した。
次いで、正常と退行卵胞の顆粒層細胞からmRNAを調製し、R-PCR法にて増幅後、特異的mRNAを同定し、対応するcDNAをプローブとして完全なmRNAを釣り上げた。現在その塩基配列を決定中である。一部判明している配列のホモロジー検索から、Ca2+依存性アポトーシス誘導受容体であるFas抗原にホモロジーの高い蛋白質が発現していることが推察されたのでその検索に注力している。

研究成果

• [文献書誌] Manabe N. et al.: "Immunohistochemical quantitation for extracellular matrix proteins in rats with glomerulonephritis" Nephron. 71. 79-86 (1995)
• [文献書誌] Manabe N. et al.: "Immunohistochemical micro quantification of fast-myosin in sections of mammalian skeletal muscles" Journal of Animal Science. 73. 88-95 (1995)
• [文献書誌] Nishiyama Y. et al.: "A sporadic case of Ehlers-Danlos syndrome type IV: Diagnosed by a morphometric study of collaqen content" Pathology International. 45. 524-529 (1995)
• [文献書誌] Miyamoto H., et al.: "Female reproductive properties and prenatal development of a senescence accelerated mouse strain" The Journal of Experimental Zoology. 272. 116-122 (1995)
• [文献書誌] 眞鍋 昇,宮本 元: "卵胞退行における顆粒層細胞のアポトーシスの役割とその制御" 家畜人口受精誌. 167. 1-10 (1995)
• [文献書誌] Nagano N. et al.: "Renal responses to atrial natriuretic peptide(ANP) in rats with non-oliguric acute renal failure induced by cisplatin" The Journal of Veterinary Medical Science. 57. 997-1002 (1995)