鶏伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)による免疫制御機構の解明を目的として、病原株の弱毒化と弱毒株のLSCC-BK3細胞における増殖およびウイルスレセプターについての解析を行った。 1.病原株の弱毒化と弱毒株のLSCC-BK3細胞における増殖 病原株は、鶏胚での継代によりCEF細胞での増殖が可能となった。鶏胚順化株は、親株に比較して著しく病原性が減弱がしていた。病原株および弱毒株について鶏のB細胞由来株化細胞LSCC-BK3における増殖性を検討したところ、病原株が良く増殖したのに対して弱毒株はほとんど増殖が認められず、ウイルス抗原陽性細胞は1%未満だった。病原株および弱毒株の遺伝子解析から、弱毒化による変異がVP2の変異領域に集中していることが明らかにされており、変異領域が標的細胞との親和性あるいはウイルス吸着後の感染過程に何らかの役割を担っている可能性が推定された。 2.ウイルスレセプターの解析 LSCC-BK3の細胞膜画分について、IBDVが親和性を示す分子の検討を行った。分子量約20kD、40kDおよび44kDの少なくとも3分子に対してIBDVが親和性を持つことが示唆され、現在これらの確認を行っている。また、ウイルスレセプターに対するモノクローナル抗体の作出を目的として、LSCC-BK3細胞による免疫を行った。
|