モルモット回腸壁内神経叢を用い、ホスホリパーゼA2(PLA2)の活性化により膜から遊離してくるアラキドン酸から生合成されるプロスタグランジン(PGs)が、細胞内のcyclic AMPレベルを調節することにより、アセチルコリン(ACh)放出を調節していることを明らかにした。すなわち、ニコチン刺激によるACh放出がプロテインキナーゼA活性を抑制するH-89により抑制されること、また、PGs合成阻害剤により抑制されたACh放出のPGsによる回復がH-89により濃度依存性に抑制されることから示された。また、PGsによる調節を受けていない電気刺激やセロトニンによるACh放出に対してはH-89は全く作用を示さなかった。更に、単離した腸壁内神経叢にPGsを作用させたところ細胞内cyclic AMPレベルが増加することも確認した。 ラット唾液腺より、膜標本と分泌顆粒を別々に単離した。両標本を単純に混ぜ合わせただけでは反応は全くみとめられないが、膜標本をPLA2処理したところ、膜融合とアミラーゼ分泌がCa2+非存在下に生じ、分泌系において、PLA2は分泌の最終段階、膜融合時に作用していることを明らかにした。また、この時アラキドン酸は相乗的に作用していること、その代謝産物は影響していないことも示した。
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