研究課題/領域番号 |
07660436
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平井 諒子 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (20156623)
|
研究分担者 |
辻 正樹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60172003)
堀井 文敬 京都大学, 化学研究所, 教授 (70124758)
|
キーワード | バクテリアセルロース / セルロースIα / セルロースIβ / ミクロフィブリル / CMC / 透過型電子顕微鏡 |
研究概要 |
微生物が生産するセルロース(バクテリアセルロース)は、セルロースIα(三斜晶)が64%とIβ(単斜晶)が36%とからなる複合結晶である。この複合結晶の存在比はバクテリアセルロースの培養条件を変化させることにより制御できる。本研究は、バクテリアセルロースを用いて、複合結晶の生成機構、高次構造形成過程を明らかにすることを目的とする。 1.カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)やキシログルカン(XG)などの親水性高分子を培養液中に添加して培養を行い、生成するセルロースのミクロフィブリルの凝集状態やそのサイズを、負染色法により200kV透過型電子顕微鏡にて観察した。標準培地中で酢酸菌を培養した場合、1個の細胞からは周期的なねじれの存在する60-80nm幅の1本のセルロースフィブリルが生成される。しかし、CMC、XGやメチルセルロースを培養液中に加えた場合、ミクロフィブリルの凝集がかなり妨げられる。特にCMCの濃度の増加と共に平均のミクロフィブリルのサイズは大きく減少した。また、また固体高分解能NMR及びFT-IR法により求めたIαの含率も、濃度の減少に伴い同様に減少し、Iαの含率と平均のミクロフィブリルのサイズとの間にはよい対応関係があることが判明した。なお、購入した微量高速遠心機は、試料作成のために使用した。 2.通常の菌の培養条件は28℃であるが、培養温度を変化させることにより、菌体の増殖量とセルロースの生産性や結晶化速度を制御できる。培養温度およびCMCの添加効果を検討し、得られたセルロースの高次構造を走査型電子顕微鏡観察により観察した。低温で培養した場合、セルロースの生産性は減少するが、膨潤度の高いセルロースを得ることができた。CMCを添加する方が、フィブリル同士の集合がより密であることが判った。
|