研究概要 |
1.バクテリアセルロースの生産性の改善 (1)金属塩添加の影響 Mg塩およびリン酸水素二カリウムを添加したHestrin-schramm(HS)培地ではHS培地のみに比べ、約2倍程度生産量の増加が認められた。一方、Al,Fe,Ca,Kの硫酸塩添加では生産量の増加は認められなかった。 (2)その他の添加剤の影響 リグニンおよびリグニンスルホン酸ナトリウムの添加で2〜3倍程度生産量の増加が認められた。カザミノ酸、フィチン酸の添加では生産量に影響は認められなかった。 2.バクテリアセルロースの複合結晶の結晶化過程 天然セルロースはセルロースI_α(三斜晶系)とI_β(単斜晶系)の複合結晶であり、その存在比は天然セルロースの種類により異なる。バクテリアセルロースをモデルケースとしてこのI_αおよびI_βへの結晶化過程を検討した結果、生成するミクロフィブリルのサイズと相関関係のあることが明らかになった。すなわち、ミクロフィブリルのサイズが小さくなるとI_βの結晶化が優先的に起こる。これらのことから、I_αはミクロフィブリルのねじれに基づいて誘起されるずり応力下で結晶し、I_βは応力の小さいか無い条件下で結晶化すると推定した。
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