研究概要 |
腹腔の生体防御機構を明らかにするために,腹膜中皮細胞と免疫担当細胞との相互作用,及びそれに関連した細胞接着分子の動態について微細構造学的視点から研究を進めてきた。 本年度は主に正常及びLPS刺激ラット腹膜中皮の微細構造と接着分子(ICAM-1)の微細局在との関係を主に免疫SEM法を用い解析した。 方法は正常ラットあるいはLPS刺激後,3,6,12,24時間目に実質臓器(肝臓,脾臓)の腹膜を5×5mmの大きさに切り取る。冷却したUW液(臓器保存液)で5倍に希釈したラットICAM-1の一次抗体に1時間浸す。次にUW液で10倍に希釈した15nmの金粒子のついたマウス1gG二次抗体に1時間浸す。その後グルタールアルデハイドで固定。以後通常の方法で透過電顕,走査電顕用試料を作成。走査電顕試料はカーボンあるいはオスミウムプラズマ蒸着後,反射電子像を観察。これらの所見を二次電子像,透過電顕像と比較しながら微細局在と微細構造との関連を検討し次の結果を得た。 (1)正常腹膜中皮においてICAM-1は細胞膜表面全体に発現する。数は少ない。 (2)LPSで刺激するとICAM-1は微絨毛に限局するようになりそれ以外ではほとんどみられない。 (3)LPSで刺激すると6時間以降ICAM-1の発現が増えてくる。ピークは12時間でそれ以降は増加しない。 ICAM-1が微絨毛に限って発現することは,白血球との相互作用はお互いの突起の間で行われることを示唆しており,このことは白血球の円滑な遊走に重要な役割を果しているものと考えられる。
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