研究概要 |
平成7-9年度の研究を総合約に考察し、次のような結論を得た。 筋誘導因子の発現について 筋誘導因子(Myf5,myogeninとMyoD)の発現をWhole mountのin situ hybridisationにより調べた。Myf-5,MyoDとmyogeninはそれぞれstage7-8(約23-29時間後),10(33-38時間後)および9-10(29-33時間後)の体節に発現していた。これらの誘導因子の発現についてこれまで報告されているものと比較すると、それぞれの均子の発現順序ほ同じてあったが、発現時期は早かった。 筋蛋白質の強制発現について 心筋と骨格筋の収縮調節蛋白質(それぞれCTnIとFTnI)をタグ標識し、各筋に強制発現させた。心筋の筋原線維にはCTnI、FTnIが取り込まれた。しかし骨格筋の筋原線維ではFTnIのみが取り込まれた。心筋ではTnI isoformに対する許容範囲が広く、どのようなTnIが発現しても機能できるようになっていると思われる。タグ標識法は筋原線椎の形成の解析に有効であることを示した。 次にキメラ、C/FTnI(頭部がCTnI、尾部がFTnI)およびF/CTnI(頭部がFTnI、尾部がCTnI)を発現させた。CFTnIとF/CTnI の取り込みパターンはそれぞれFTnIとCTnIのものと同じであった。TnIの筋原線維への取り込みにはTnIの尾部か重要であることが明かとなった。 さらにCTnIとFTnIの頭部と尾部をのみを強制発現させた。FTnI の尾部のみが骨格筋の筋原腺維に強く取り込まれ、この部分がTnI isoformの取り込みに大きく関わってることが確認された。 このようなisoformの取り込みに関する優先順位はmyosin軽鎖においても報告されている。筋蛋白質のisoformは筋原線維に対して固有の親和性を持っており、この親和性は各筋に特徴的な筋原線椎の形成に重要であることが明かとなった。
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