研究概要 |
1.機能解剖学的研究:肘屈筋群と伸筋群に対する筋電図を用いた解析から、上腕二頭筋と他の肘屈筋(上腕筋、腕橈骨筋)が相反的に収縮することにより、肘の屈曲を一定に保ったままでの前腕回内・回外動作が可能となっていることを明らかにした(Naito et al.,In abst,14th Fed Int Cong Anatomists Lisbon,p572,1994;Naito et al.,Tohoku J Exp Med,175:285-288,1995)。また、電気刺激を用いた解析から、二つの肘屈筋(上腕二頭筋と腕橈骨筋)を相反的に収縮させることにより、肘の屈曲を伴わない回外動作が制御できることを示し(Naito et al.,Neurosci Res,Suppl 21:S199,1997)、機能的電気刺激による麻痺上肢の回外動作再建への足掛かりを作った。 2.神経生理学的研究:PSTHなどを用いた解析から、動物ではみられない上腕二頭筋と腕橈骨筋の間(宮坂ら,信学技報MBE96-77:109-114,1996;Naito et al.,Exp Brain Res,111:483-486,1996)および上腕二頭筋と円回内筋の間(孫ら,信学技法 MBE96-77:115-120,1996;Miyasaka et al.,Neurosci Res,Suppl21:S198,1997;Naito et al.,Exp Brain Res,accepted)、腕橈骨筋から円回内筋へ(未発表)のI群線維と1から2個の介在ニューロンを介する抑制性の神経投射を明らかにし、ヒト上肢筋脊髄神経機構の特異性について示した。 3.今後の展開:1では、手関節伸筋群と屈筋群についての研究を予定している。2では、PSTHを用いてさらに他の筋の神経結合を調べるとともに、これまで明らかにした神経結合についての経頭蓋磁気刺激によるmotor evoked potentialを用いた解析を予定している。また将来的に、1と2の結果を合わせて神経結合を考慮した“次世代型上肢運動シュミレーダ"の開発も考えている。
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