研究概要 |
VI型コラーゲンの生体内局在は、ATPにより集合させたVI型コラーゲン周期構造の電子顕微鏡観察と免疫組織化学により、これまであまり詳しく調べられていなかった運動器系組織、腱実質・筋腱移行部・腱骨移行部においても明らかにされた(Senga K,Kobayashi M et al., Anatomical Record 243:294-302,1995)。またVI型コラーゲンと強くアソシエイトするスモ-ルデルマタン硫酸プロテオグリカン、デコリンの局在が免疫電顕法により角膜実質で示され(Kimura S,Kobayashi M et al.J Electron Microsc 44:445-449、1995)、VI型コラーゲンとプロテオグリカンが協同して、角膜のコラーゲン細繊維の配列に関わり角膜の透明性を維持するのに働くことが示唆された。これらの結果はVI型コラーゲンが生体内にあまねく存在し、さらにプロテオグリカンとの相互作用が、その機能発現のためには必須であることを示したものである。 免疫細胞の機能調節において細胞外基質が重要な役割を果たしていることが近年明らかとなっている。まず、コラーゲン、ラミニン、アルブミン、フィブロネクチンなどの細胞外基質がマクロファージ接着と伸展にどのように関わるかを明らかにする実験系を組み、細胞外基質の与える影響を微細構造的に明らかにした(野呂瀬ら、第25回日本免疫学会総会・学術集会発表)。VI型コラーゲンを含む細胞外基質三次元ゲル内での免疫細胞の挙動に関する研究は現在進行中である。
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