今年度は、細胞外基質三次元ゲルの構築に先立つ研究として、培養面の細胞外基質と免疫系細胞との相互作用を調べた。 種々のコラーゲンがマクロファージの接着と伸展、及び細胞の微細構造に与える影響を明らかにする目的で、U937細胞から分化させたマクロファージを各種コラーゲンなどの細胞外基質でコートした培養面上で培養し、その微細構造の変化を観察した。非コート面すなわちプラスチック上では細胞は薄く細胞質を伸展させて接着していた。細胞は近接している場合でも単層であり、重層することはなかった。これに対して、線維形成性のコラーゲン上で培養すると細胞が凝集し、塊となって接着しているものが多く観察され、細胞の接着や伸展が阻害されていることが示された。コラーゲンを加熱し、ゼラチン化した場合や、フィブロネクチン、ラミニンなどの細胞外基質上では、細胞の接着阻害は見られなかった。コラーゲン細線維は、真皮において免疫系細胞の遊走につよく関わることが本研究により明らかとなり、I型コラーゲンを主体としたゲルの重要性が示唆された。
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