ステロイドホルモンの生合成と作用機構の細胞化学的解析

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07670019
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 石村 和敬 徳島大学, 医学部, 教授 (90112185)
• キーワード: 5α-リダクターゼ / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / ステロイドホルモン / 脳 / 前立腺 / 副腎 / アロマターゼ

研究概要

1)5αリダクターゼ(水素添加酵素)のヒト1型、2型、ラット2型について、それぞれの一部のポリペプチドを合成し、これを用いてポリクローナル抗体を作成した。これらの抗体を用いてヒトおよびラットの種々の組織について、光学顕微鏡、電子顕微鏡レベルの免疫組織化学をおこなった。その結果は以下の通りである。
(1)下垂体では性腺刺激ホルモン分泌細胞に1型5αリダクターゼの存することがわかっていたが、電子顕微鏡レベルでの検索の結果、この酵素が主として粗面小胞体膜に存在することが示唆された。電子顕微鏡レベルでの検索の結果、この酵素が主として粗面小胞体膜に存在することが示唆された。
(2)副腎についても、皮質細胞のうち束状帯-網状帯細胞の、主として滑面小胞体に1型の酵素が存在することがわかった。球状帯細胞にはこの酵素はないと考えられる。現在、アンドロゲン受容体のとの関係を検索中である。
(3)前立腺では、2型5αリダクターゼが上皮の基底細胞と間質のすべての平滑筋細胞、一部の線維芽細胞に存在することがわかった。これは、1型の酵素が分泌上皮細胞のみに存在すると著しい対照をなすものである。電子顕微鏡レベルの検索では2型の免疫染色の反応は細胞質にびまん性に認められ、細胞内小器官との詳細な関係はわからなかった。
2)ニワトリ胚子副腎の発生を電子顕微鏡で追跡した結果、遅くとも孵卵11日には、皮質細胞がステロイドホルモン産生細胞の形態学的な特徴をもつようになることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] Nakamura, M.: "Immunocytochemical localization of platelet-type arachidonate 12-lipoxygenase in mouse blood cells." The Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 45. 237-244 (1995)
• [文献書誌] Tomita, Y: "Long-term maintenance of functional rat hepatocytes in primary culture by additions of pyruvate and various hormones." Biochimica et Biophysica Acta. 1243. 329-335 (1995)
• [文献書誌] Ishimura, K.: "Further observations on the fine structure of the development of the interrenal tissue of the chick embryo." The Tokushima Journal of Experimental Medicine. 42. 17-26 (1995)
• [文献書誌] Tsuruo, Y.: "Presence of estrogen receptors in aromatase-immunoreactive neurons in the mouse brain." Neuroscience Letters. 195. 49-52 (1995)
• [文献書誌] Ikawa, H.: "Arachidonate 12-lipoxygenase in porcine anterior pituitary cells: its localization and possible function in gonadotrophs." Journal of Endocrinology. 148. 33-41 (1996)
• [文献書誌] Tsuruo, Y.: "Immunohistochemical localization of estrogen receptors within aromatase-immunoreactive neurons in the fetal and neonatal rat brain." Anat Embryol. 193. 115-121 (1996)