1.5αリダクターゼのヒト1型、2型、ラット2型について、ポリクローナル抗体を作成し、ヒトおよびラットの種々の組織について、光学顕微鏡、電子顕微鏡レベルの免疫組織化学をおこなった。その結果は以下の通りである。 (1)下垂体では性腺刺激ホルモン分泌細胞に1型5αリダクターゼが存在し、去勢によって発現量が増えること、酵素は粗面小胞体膜に局在することが示唆された。 (2)副腎皮質束-網状帯細胞には1型5αリダクターゼが存在し、下垂体同様去勢によって発現量が増え、テストステロンやエストラジオール投与によって抑制された。副腎皮質のステロイド合成および代謝は性ステロイドの調節を受けていると考えられる。 (3)副腎髄質では、神経線維を取り巻くシュワン細胞の細胞質や、髄質細胞を取り囲む支持細胞の細胞質に1型5αリダクターゼが存在する。 (4)神経系では、希突起膠細胞、シュワン細胞、神経節の外套細胞などの細胞質に1型の5αリダクターゼが存在する。 (5)ヒトの前立腺、精嚢、精管などについて、2型5αリダクターゼの局在を免疫組織化学的に調べたところ、上皮の基底細胞の他、間質のすべての平滑筋細胞の細胞質に陽性反応があった。ラットの結果では、1型のアイソザイムが上皮の分泌細胞のみにあり、型によって異なる局在を示すことが明らかになった。 2.ニワトリ胚子副腎の発生を電子顕微鏡で追跡した結果、遅くとも孵卵11日には、皮質細胞がステロイドホルモン産生細胞の形態学的な特徴をもつようになることがわかった。
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