研究概要 |
高圧凍結技法はこの方法が1960年代後半にはじめて発表されてから三十年余の歴史を持っているが、つい最近までは実験室手作りの高圧凍結装置が存在しただけて、広く研究者がこの方法を用いる事はなかった。この技法が機能し出したのは高圧凍結技法のための本器械がリヒテンシュタイン国のBalzers社で高圧凍結装置HPM10としてが市販されるようになってからである。 この本邦一号機が我々の実験室に文部省概算要求研究費により導入された。この導入に伴い、スイス、チューリッヒ市のETH,M,Muller教授を招いて1995年4月25日鹿児島大学医学部でセミナーを開催し、本機器の操作、本機器による試料作りのための講習会を開催した。更に1996年2月17日日本電子顕微鏡学会九州支部の事業の一環として、九州支部長兼企画者として、本機器の使用法、試料作りの講習会を宮崎医大解剖学教室菅沼龍夫教授と共催の形で再度、M.Muller教授を招き宮崎医大で開催した。九州・山口地区の電顕研究者約15名が参加して、この新しい手法への関心の高さを示した。 技法面では実験動物の消化管を中心に実験を続け、約100μmレベルで大変満足すべき硝子状凍結標本を作る事が出来るようになった。従来の急速凍結の約10倍の理想的凍結標本得る事が出来るようになった。この方法の発展として、凍結置換、フリーズフラクチャー、凍結超薄切法への応用が考えられるが、既に経験のあるアクロレイン置換法の方法論の確立、これの組織化学への応用を検討している。また、HPM10の改良を行い、材料室温度をデュワ-温度と別にコントロール出来るようにした。
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