内分泌器においてマトリクス様分子としてグリココンジュゲイトが存在しそれらの存在形態が内分泌細胞を特徴づけるという観点に立ち、ラットの下垂体前葉の内分泌細胞の表層または細胞間と分泌顆粒とに特異的なグリココンジュゲイトがマトリクス様機能分子として存在する可能性を、主に光学・レーザー・電子顕微鏡レベルの免疫組織化学と画像解析により解析した。 前葉の一部の細胞に特異反応を検出するモノクローン抗体は、グリコサミノグリカンを成分とする蛋白すなわち1つのグリココンジュゲイトを認識する。ゴールド標識による免疫電顕の手技により抗体の細胞内局在性を解析し、この抗体に対する抗原分子が、前葉の特定の腺細胞の分泌顆粒にかぎって存在することを結論した。このグリココンジュゲイトはこの腺細胞の分泌顆粒によってマトリクスである可能性がある。 グリコサミノグリカンのうちコンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸に対する抗体を用いて、ラットの下垂体前葉細胞における分布を、パーソナルコンピュータによる画像解析により解析した結果、コンドロイチン硫酸を含有する腺細胞を認めた。先の抗体がコンドロイチン硫酸を含有するグリココンジュゲイトを認識することから、コンドロイチン硫酸含有細胞とモノクローン抗体免疫陽性細胞が同一の細胞であると考えられた。
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