研究概要 |
我々は先に、先天性脳梁欠損マウスの運動野を電気刺激した場合、四肢がipsilateral motor controlを呈することを見い出しました。次いで、正常な、生後1〜2ヶ月の若い成鼠の脳梁を外科的に切断したところ、同様の結果を得るに至りました。いずれも錐体路が正常に存在しているにもかかわらず脳梁線維が欠如しているだけでかかる運動機能を呈しますことは、交連線維のremodelingの可能性を示唆しています。本研究においてはこのことを間接的に証明するために、脳梁の前部(吻、膝、幹を含む)を外科的に切断し、術後、1、6、10、12日の大脳皮質運動野の第5層錐体細胞では第3層の、第3層の錐体細胞では第2層でのapical main dendriteおよびoblique blanchのspine densityをGolgi-Cox変法で染色し、レーザー顕微鏡で測定しました。その結果、術後6日〜10日をピークとするspine densityの有意の増加を統計的に認めました。また、この時期に一致してdendriteの径の肥厚、およびspine stemの直径の増大も観察されました。これらの現象はいずれも一過性で術後12日には正常にもどるることが明らかにされました。 脳梁切断に伴う,spine densityの一過性増加の発見は、交連線維のremodelingの可能性を意味しています。今後の研究では、これら、一過性の増加したスナップスがいかなる神経伝達物質を分泌するものであるかを分子生物学的に明らかにするために、in situ hybridization法により、glutamatergic,GABAergic,cholinergic,dopaminergic,serotoninergicのいずれのsynapseであるかを同定する必要があります。
|