研究概要 |
平成7年と8年の2カ年にわたる研究によって得られた新たな知見は次の通りである. 1.胎子肝臓マクロファージは血管腔マクロファージに由来する. 肝臓造血開始以前の卵黄嚢血管や胚子の循環血液細胞を超微形態レベルで観察し,卵黄嚢造血期には成熟動物と異なって,スカベンジャーマクロファージが循環血液に含まれ,胚子内を循環することを明らかにし,超微形態的名特徴と造血組織の時間的な発生経過から,肝臓マクロファージの起源を解析した. 2.類洞のスカベンジャーマクロファージは肝細胞間へ移動し,赤芽球島中心マクロファージへと分化する. 超微レベルの形態学的な観察に加え,肝細胞,マクロファージ,造血細胞それぞれの細胞表面の糖を超微組織化学的に観察し,肝臓に形成される赤芽球島マクロファージが類洞腔マクロファージに由来することを観察した. 3.肝臓マクロファージの食作用の対象は,肝臓造血の推移を反映する. 肝臓造血開始期,恒久性赤血球生成期,造血衰退期で異なり,老化原始赤血球,放出された赤芽球核,変性多形核白血球が肝臓造血の推移と関連して,肝臓マクロファージに取り込まれ除去される. 4.生後の肝臓ではマクロファージは類洞内にのみ,残存する. 赤芽球島中心マクロファージは肝臓造血の終息とともに細胞死にいたり,胎生期類洞マクロファージは生後ライソゾームは急速に発達し,類洞腔に残存する.
|