研究概要 |
1.ラット胸腺微小環境に存在する液性因子の胸腺リンパ球接着に及ぼす影響 (1)液性因子(PBS-TFとMEM-TF)の分離 3週齢ラット胸腺をダルベッコウPBS(Ca^<2+>,Mg^<2+>不含)あるいはハンクスMEM(Ca^<2+>,Mg^<2+>含)内で細切し,胸腺リンパ球浮遊液を作成し,5分間放置後,その上澄みを1,200rpmで5分間遠心した.上清をそれぞれPBS-Thymic Factor(TF)or MEM-TFとし,また,沈査を胸腺リンパ球とし,以下の実験を行った. (2)胸腺リンパ球に対するPBS-TFとMEM-TFの影響 胸腺リンパ球浮遊液にPBS-TFとMEM-TFを添加しない実験群と添加した群を比較した.その結果,添加群では,細胞の増殖が抑制されたが,細胞の接着に関しては有意差が認められなかった.したがって,リンパ球とリンパ球の接着を阻止する因子の存在の可能性は,否定された.次に,胸腺上皮系細胞とリンパ球の接着を阻害する因子がPBS-TFとMEM-TFに存在するかどうか調べる実験を行う必要がある. 2.ラット胸腺微小環境に存在する液性因子のラット肝癌細胞(HTC)ぼす影響 HTCをPBS-TFとMEM-TFの存在下で培養すると,非存在下に比して,cell-cellの接着が促進され,非存在下では,細胞が基質に接着伸展するのに対して,その接着伸展が極度に阻害された.したがって,液成因子の中には,HTC同志を接着させ,基質への接着伸展を阻害する因子の存在が確認された.さらに,HTCを基質に接着伸展させた後,PBS-TFとMEM-TFの存在下で培養するとどのような変化が起こるかどうかの実験を行う必要がある。
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