1.Mg^2+欠乏性Ca電流増大の機序をさぐるため、リン酸化の起こらない条件下で細胞内Mg^<2+>を減少させた。全くリン酸化可能な場合と変わらず電流の増大を見たのでこの現象が起こるためにはチャンネルリン酸化という機序を介する必要の無いことがわかった。 2.細胞内Ca^<2+>濃度の増加が電流増大を示すことがあるが、これは細胞内Mg^<2+>によるチャンネルの抑制がCa^<2+>によって拮抗的に解除されることが原因であるとした。 3.G-蛋白を刺激する物質であるGTP、GTPγS、Gpp[NH]pを細胞内に投与するとMg^<2+>欠乏性Ca電流増大は全く抑えられた。この抑制はGTP濃度依存性であった。ただしG-蛋白を抑制する物質であるGDPBS、GDPなども同様にMg^<2+>欠乏性Ca電流増大を抑えたのでこの制御機序はG-蛋白を介するのではなくむしろguanine nucleotideが直接チャンネルに結合して抑制するのではないかと考えられた。 4.GTPの細胞内Mg^<2+>濃度が低下したときのみCa電流の増大を抑制することがわかったが、さらにMg^<2+>とGTPの抑制作用の相互関係について調べた。両者はID_<50>が4μM程度の抑制を示したが、両者の共存が他方の抑制作用に影響を及ぼさないことがわかった。このことから両者は共通の結合部位に結合し、抑制作用を引き起こすと考えられた。
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