研究課題/領域番号 |
07670071
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
澁谷 泉 産業医科大学, 医学部, 助教授 (50162649)
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研究分担者 |
山下 博 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030841)
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キーワード | Ca^<2+>画像解析 / パッチクランプ / 視床下部視索上核 / GABA_B受容体 / プロスタグランディンE_2 / PACAP / Caffeine / Ryanodine感受性Ca^<2+>ストア / 非選択性陽イオンチャネル |
研究概要 |
Ca^<2+>画像解析ならびにパッチクランプ法を組み合わせることにより、現時点までに視床下部視策上核スライス標本および単離神経細胞標本、さらには神経細胞のモデルとして用いた内分泌細胞である牛副腎髄質細胞、下垂体中葉細胞において、以下の事実が判明した。 1.視索上核に大量に含まれている神経ペプチド、PACAPが強力な細胞内Ca^<2+>濃度上昇作用を有していた。またPACAPは持続性の脱分極ならびに活動電位の発生頻度増加を伴っていた。PACAPの作用には膜電位非依存性の陽イオンチャネルの活性化と膜電位依存性Ca^<2+>チャネル(L type)の関与が示唆された。また細胞内ストアからのCa^<2+>遊離は重要な役割をたしていないことが確認された。 2.牛副腎髄質細胞ではPACAPは著明な細胞内ストアからのCa^<2+>放出を引き起こした。この放出はCaffeine/Ryanodine感受性Ca^<2+>ストアからの放出であり、このCa^<2+>放出の後、持続性の陽イオンチャネルの活性化が起こり、Ca^<2+>流入が活性化することが明らかとなった。 3.ラット下垂体中葉細胞においてはPACAPは視索上核ニューロン同様、Ca^<2+>放出を伴わないCa^<2+>流入を引き起こし、この作用はProtein kinase AとPtotein kinase Cの両者に依存し、それぞれ膜電位依存性Ca^<2+>電流の増強と非選択性陽イオンチャネルの活性化を介することが明らかとなった。 4.牛副腎髄質細胞で新たに発見されたペプチドPAMPはニコチン受容体を選択的に抑制する結果、ニコチン誘発性電流とそれに引き続く細胞内Ca^<2+>濃度上昇を抑制することを明らかにした。 5.バゾプレシン分泌を亢進するPGE_2は視索上核ニューロンに直接作用し、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇と膜電位の脱分極を引き起こした。その作用機序は非選択性陽イオンチャネルの活性化であった。 6.これまで視床下部視索上核において存在が不明であったGABA_B受容体がシナプス前、シナプス後の両方に存在し、それぞれGABAとグルタミン酸の放出を抑制し、膜電位依存性Ca^<2+>チャネルを抑制することによりmagnocellular neuronの機能調節に密接に関与していることを明らかにした。
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