研究課題/領域番号 |
07670074
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
白井 幹康 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (70162758)
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研究分担者 |
松川 寛二 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (90165788)
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キーワード | 内因性一酸化窒素 / 吸入一酸化窒素 / 一酸化窒素合成阻害薬 / L-アルギニン / 肺微小循環 / 血管口径 / 低酸素性肺血管収縮 / 肺高血圧 |
研究概要 |
以下の2点について麻酔下ネコで研究を進めた。1)正常肺循環における内因性一酸化窒素(NO)の血管口径調節上の意義並びに2)正常及び低酸素環境下肺血管に対する経気道的NOガス負荷の血管拡張作用。前者を調べるため、NO合成阻害薬投与前後の肺小動静脈(100-1100μmdiam. )の口径応答を直接計測した。その結果、動静脈のいずれにも有意な収縮が起こり、最も強い収縮(〜25%)は〜200-700μmの小動脈で生じることが分かった。又、この収縮は、L-アルギニン投与で完全に消失した。これらのことは、肺小動静脈のいずれも持続的なNOの放出によって正常血管トーンが調節されており、特に小動脈は強い調節を受けていることを示唆した。又、この収縮応答は、神経節遮断剤の前処置で影響を受けなかったことより、NOの放出は末梢神経からではなく主に血管内皮細胞からと考えられた。さらに、NO合成阻害時の肺小動静脈収縮は、他の代表的な肺血管拡張因子(β-adrenergic receptor及びmuscarinic receptor刺激因子並びにprostaglandins)をブロックしたときの血管収縮に比し2倍以上強かったことからも、内因性NOの肺血管トーン調節上の重要性が示唆された。 外因性NOの肺血管拡張作用を調べるため、5-40ppm NO吸入時の肺小動静脈口径応答を計測した。吸入NOは従来予測されていた肺胞近傍の小動脈のみでなく、口径約100-900μmの動静脈いずれも拡張させることが分かった。拡張の程度は静脈の方が強く、最大拡張は200-700μmの動脈で起こった。しかし、約1000μm以上の太い動静脈は拡張しなかった。又、吸入NO(40ppm)は、0%O_2吸入で生じた強い肺血管収縮(〜30%)を完全に消失さることも分かった。以上の結果は、NO吸入が血管攣縮を伴うような肺高血圧症において、肺小動静脈の血管抵抗を減少させる有効な治療法となりうることを示唆した。
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