研究課題/領域番号 |
07670081
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
森田 之大 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80034164)
|
研究分担者 |
中村 孝文 静岡大学, 大学院・電子科学研究科, 助手 (70144061)
内田 勝久 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10168693)
|
キーワード | メラトニン / 生体リズム / 痴呆 / アルツハイマー病 / 加齢 / 活動リズム |
研究概要 |
加齢及び痴呆症に関連した概日リズムの変化と中枢神経系の相関について知るため、痴呆患者及び健康な高年齢者層において、生体のもつ各種の生理機能についてのリズムを計測した。メラトニンは概日リズムを示すホルモンの一つであり、内因性の生体リズムのよい指標となる。したがって今回は、血中メラトニン濃度の測定を重点的に行った。また同時に体温及び活動リズムについての検討も行なった。 痴呆患者の対象として入院中のAlzheimer病およびAlzheimer型老年痴呆の患者16例を測定した。また対照としての高年齢者層には、痴呆群と年齢を合わせた健康な男女13例、痴呆群と同じ病院に入院中で痴呆を認めない患者10例を選定した。後者の群は、健康な高齢者群と痴呆群では生活環境が大きく異なるため設定した。また20歳代の健康な男女10例も対照群として測定した。 測定の結果、対照の高齢者群および入院患者群では、メラトニンの日内リズムが見られなかったのは1例ずつであったのに対し、痴呆群では16例のうち6例にリズムが認められなかった。若年群では全員にリズムを認めた。メラトニンリズムの認められない場合は痴呆患者では37.5%、痴呆と同年齢で痴呆がない群では8.7%となる。メラトニンリズムが消失している割合は、痴呆のない群と比べ痴呆患者の方が有意に高い(P<0.05,t-test)。 またアクトグラムを用いた活動リズムの測定結果から、メラトニンリズムの有無がただちに生体の活動リズムの異常の有無と結び付くものではないことが示された。活動リズムの異常は、痴呆が進んだ例やせん妄状態の患者で観察されていることから、脳の病理学的変化と併せてZeitgeberに対する生体の感受性もリズム障害の出現に対して重要な要因となっていると考えられた。
|