研究概要 |
昨年度、ラットでプロラクチンが非ふるえ熱産生の主要産生部位である褐色脂肪組織において、グルカゴンによる熱産生反応を選択的に抑制している可能性を示した。 本年度は、この可能性をさらに検討するため、寒冷刺激と同様、非ふるえ熱産生能が亢進していることが知られている、反復拘束ストレスラットおよび遺伝的に耐暑性を示すFOKラットで、血漿プロラクチンレベルを調べたところ、拘束ストレス時に対照ラットでは血漿プロラクチンレベルが著しく上昇するのに対し、非ふるえ熱産生の増強が起きている反復拘束ストレスラットではその上昇が見られなかった。また意外にも非ふるえ熱産生能が高いFOKラットでは、対照として用いられたStd:Wistar,およびWistar King A/Hokラットに比べ、安静時の血漿プロラクチンレベルが有意に低かった。これらの結果は昨年度の結果と一致しており、プロラクチンが褐色脂肪組織の熱産生機能を抑制することを支持している。しかし、現在までの処、褐色脂肪組織でのプロラクチンリセプター発現mRNAの明瞭な検出には成功して居らず、プロラクチンが直接褐色脂肪組織に作用しているかどうかについては不詳である。プロラクチンリセプターのサブタイプに対するそれぞれ発現mRNAの検出およびmRNAの増幅などさらに検討を加える必要がある。
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