研究概要 |
平滑筋においてミオシン線維を安定化させる蛋白質を検索するため、ニワトリ砂嚢平滑筋より得た抽出液を種々の方法で分画しミオシン線維を安定化する活性を光学顕微鏡で観察しながら追跡した。その結果25kDaの蛋白質がこの活性に寄与していることがわかった。しかし通常ミオシンを抽出する方法では25kDa蛋白質の収量が極端に悪かったため、収量を上げる改良を行った。ニワトリ砂嚢を挽き肉にし低濃度のKClとATPでミオシンを抽出後、残屑に高濃度のKClとATPを加えてホモナイザーで細胞を破壊することにより25kDA蛋白質の抽出効率が格段に良くなることがわかった。これを硫安分画、DEAEイオン交換カラム、ハイドロキシアパタイトで分画するとほぼ均一な25kDa蛋白質が得られた。DEAEイオン交換カラムの段階での25kDa蛋白質はミオシン線維を安定化する活性が高かったが、ハイドロキシアパタイトの段階では活性が低下した。またDEAEイオン交換カラムでの25kDa蛋白質画分は波長260-280nmの吸光度が高く、ハイドロキシアパタイトでの画分では吸光度が低かったので、前者の画分は核酸を含んでいると考えられた。従って25kDa蛋白質が核酸と結合すると、そのミオシン線維安定化の機能が活性化されると予想される。 砂嚢より得た非リン酸化ミオシンは生理的溶液条件下(0.1M KCl, 2mM MgCl_2, 1mM ATP)ではミオシン線維を形成しないが、精製した25kDa蛋白質を低濃度加えると、長さ約1-2μmのミオシン線維を形成した。さらに25kDa蛋白質の濃度を上げるとパラクリスタル様の巨大な構造物を生じ、ミオシンの溶液が白濁した。リン酸化ミオシンの場合には生理的溶液条件でもミオシン線維を形成するため、25kDa蛋白質の効果は顕著ではなかった。また25kDa蛋白質と非リン酸化ミオシンによって形成されたミオシン線維の形状を電子顕微鏡で観察すると、太さ、長さなど形態的にはリン酸化したミオシンの線維と同様であった。 最近になってようやく1mg程度の25kDa蛋白質が得られるまでに収量が向上したので、この蛋白質の部分アミノ酸配列を決定中である。今後、クローニングにより全アミノ酸配列を決定し、またcDNAを大腸菌で発現して、これを抗原として抗体を作成する計画である。また発現蛋白質をもとにミオシン結合部位の同定とミオシン線維安定化のメカニズムを明らかにしていく予定である。
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