本年度は、1)平面膜作成とその安定性の検討、2)alamethichinチャネル組込みとチャネル活性測定、3)骨格筋SRの分離と平面膜への組込みおよびチャネル活性の測定、をテーマにして実験を行った。 1)平面膜の作成とその安定性の検討:除振台に設置したシールドボックス内で、直径150μmの孔を開けたテフロン膜に上昇法により、脂質平面膜を作成した。片方のセルを接地し、片方をパッチクランプアンプのヘッドステージに接続して電流変化を測定した。作成した脂質平面膜は500GΩ以上の膜抵抗を示し、2時間以上安定であった。 2)alamethicinチャネルの組込みと、チャネル活性の測定:チャネルの導入手技を修得するため、チャネル形成が比較的容易であるalamethicin(40ng/ml)を用いて、チャネル活性の測定を試みた。37回の試行で14回チャネル活性の発現を観察できた。 3)骨格筋SRの分離と平面膜への組込みおよびチャネル活性の測定:ウサギ後肢骨格筋から、Meissnerの方法に従ってheavy SR vesicle(6.5mg protein/ml)をショ糖の密度勾配遠沈法により分離した。分離したSRを平面膜に組み込んでチャネル活性の発現を観察した。cis側(0.5M KCl)にCa(0.5mM)とSR vesicle(5μl)を加え、trans側(0.1M KCl)との間で電位固定を行った。チャネル活性は75回の試行のうち12回観察され、そのうち2回は明らかなシングルチャネル活性の発現を認め、約200psのコンダクタンスを持つカリウムチャネルと考えられた。 次年度は、チャネル発現率が低いのでこの面での改良を行いつつ、分離平滑筋SRを用いてIP_3チャネル活性の測定とチャネル活性に対するG-kinaseによるリン酸化の影響を検討し、さらに分離した240kDaタンパク質の平面膜への組み込みとチャネル活性の発現およびG-kinaseによるリン酸化の影響を検討する予定である。
|