研究課題/領域番号 |
07670103
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
仁木 一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (10262908)
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研究分担者 |
渡辺 泰男 名古屋大学, 医学部, 助手 (10273228)
日高 弘義 名古屋大学, 医学部, 教授 (80100171)
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キーワード | 内分泌 / カルシウムシグナリング / カルモジュリン / 膵B細胞 / カルサイクリン |
研究概要 |
本研究の目的である分泌現象に関わるCa結合蛋白質の持つ役割について、平成7年度の研究により次のような進歩が見られた。 1)生細胞を用いた顆粒運動観察実験から、細胞内の分泌顆粒の運動もまたカルシウムで調節されていること、およびカルモジュリンアンタゴニストであるW-7がこの顆粒運動を強く抑制することが示された。この結果は、カルモジュリンが分泌顆粒の輸送過程に作用して分泌を調節することを示している。 2)ミオシン軽鎖酵素のモノクローナル抗体を透過性細胞に応用した実験では、カルモジュリンの依存性蛋白燐酸化酵素であるミオシン軽鎖酵素が開口放出より近位のステップでに働く可能性が示された。 3)もうひとつのカルシウムセンサーであるカルサイクリンについては、大腸菌を用いた発現系でマウスのカルサイクリンを得ているが、有用な抗体の作製には至っていない。また、カルサイクリンの部分配列をもとに合成したペプチドを抗原とする抗体についても、ネイティブのカルサイクリンに交差する抗体は得られなかった。これまでの実験結果から少なくとも既知のカルサイクリン結合蛋白質とは別の蛋白質が分泌をコントロールしているようであるが、その標的分子の実体は解明されていない。 以上の結果に、SNARE蛋白の反応による分泌顆粒と形質膜とのCa^<2+>依存性のドッキングも含めると、分泌現象の中心的調節因子であるカルシウムシグナリングは分泌現象において多様な役割を果たしていることが実証された。
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