(1)A170の転写誘導について:メチルビオロゲンとジエチルマレイン酸によりA170mRNAは、13-18時間の間2-3倍に増加し20時間後にもとにもどった。過酸化水素・カドミウム・亜ヒ酸によってはほとんど誘導されなかった。 (2)A170タンパクの誘導について:A170タンパクとマルトース結合タンパクとを融合させたタンパクを作成しウサギに免疫し抗血清を作成した。抗体価が低いため、アフィニティカラムで抗体を精製し使用した。ウエスタン法により採取直後のマクロファージにはほとんどA170タンパクが存在しないが培養に伴い60kDaの交差タンパクが徐々に増加すること、メチルビオロゲン・ジエチルマレイン酸・過酸化水素・カドミウムでその効果が増幅することを見出した。タンパクの増加は、刺激後5-10時間で起きることから、mRNAの増加を伴わないで蓄積することが明らかになった。熱処理による誘導促進はなかった。A170タンパクの細胞内分布を蛍光抗体で調べたところ細胞質にあり核には存在していない事が明らかになった。 (3)本融合タンパクを基質として、キナーゼの反応を調べた。DNA依存キナーゼは、リン酸化しなかったが、MAPキナーゼ・Cキナーゼ・カゼインキナーゼは本タンパクをリン酸化した。マクロファージ内にMAPキナーゼ様のA170キナーゼの存在をゲル内リン酸化法により検出した。 以上の成果は、投稿準備中であり、平成8年の生化学・分子生物学会にて報告の予定である。
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