研究概要 |
235nm励起UVRRでは主にTyrとTrpに関する情報が得られる。Deoxy形(T)からCO形(R)に変わるとき、Trpでは主に強度変化が、Tryでは波数シフトと強度変化の両方が起こった(Nagai et al.,1995)。UVRRのTryやTrpの変化とdeoxyHbの負のCD帯の出現にはサブユニット接触面(α_2β_2)の芳香族アミノ酸の関与が考えられるので、この部位のTyrやTrpが他のアミノ酸に変異した異常Hbおよび遺伝子工学的手法による人工変異Hbを用いて測定しその影響を調べた。これらのHbの多くはアミノ酸置換により、高酸素親和性となり協同性を失うが、強力なアロステリックエフェクターであるInositolhexaphoshhate(IHP)を添加すると親和性は低下し部分的に協同性を回復する。本研究では、IHP添加によりT→R転移が可能となった状態における変異HbのCDとUVRRを測定し以下の結果を得た。 (1)DeoxyHbの負のCD帯はα140Tyrの寄与による可能性が強く示唆された。 (2)UVRRにおけるTrpの主な変化はβ37Trpによること、Tyrの強度変化はβ145Tyr、波数シフトはα42Tyrとα140Tyrによることが推定された。
|