エンドトキシンショックにおけるマクロファージ遊走阻止因子の発現機構と機能の解明

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07670162
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 西平 順 北海道大学, 医学部, 講師 (30189302)
• 研究分担者: 田中 勲 北海道大学, 理学部, 教授 (70093052) ; 井上 芳郎 北海道大学, 医学部, 教授 (20051584)
• キーワード: マクロファージ遊走阻止因子 / グルタチオン / マクロファージ / 内毒素

研究概要

グルタチオン(GSH)を固定化したアフィニティゲルにマクロファージ遊走阻止因子(MIF)様の一次構造を持つタンパク質が結合することが一昨年Nature誌に発表され、グルタチオントランスフェラーゼなどGSHを基質とする酵素系の防御機構とマクロファージによる細胞性の防御機構の関連性が指摘された。それまで我々は炎症、癌、免疫など様々な分野におけるGSHの機能に関する研究を続けてきたが、この論文の発表を受けてMIFの研究に着手し、これまでヒトMIFを高純度に精製し、世界で初めてその結晶化に成功しその高次構造を明らかにした。MIFは、本来リンパ球から放出されるサイトカインであり、マクロファージを炎症部位に集める免疫機能を持つと考えられてきた。しかし、我々はMIFがリンパ球以外の組織、例えば脳や腎臓などでも産生されることを初めて示し、さらにヒトMIFがGSHを結合し、免疫系に限らず酸化的ストレスや解毒機構にも関与するユニークなタンパク質分子であることを明らかにした。
最近、MIFが極く微量のダルココルチコイドにより誘導されることが明らかとなり、ストレス応答性タンパク質として注目されている。現在、その生物学的意義の詳細について明らかにするため、感染症、慢性疾患の検体(ヒト、ラット)について、ELISA法による血清中でのMIFの変動および免疫組織学的手法による組織での動態について検討中である。

研究成果

• [文献書誌] Nishihira,J.: "The structure and physicachemical properties of rat liuer macrapnage migration inhibitory factor." Biochim.Biophys.Acta.1247. 159-162 (1995)
• [文献書誌] Gando,S.: "Endothelin-1 does rat phosphoryiate Phospholamfar and treponin I in intact beating rat hearts." Eur.J.Pharmacal.289. 175-180 (1995)
• [文献書誌] Nishihira,J.: "Molecular species of phospholipids of interllakin-2-aependent murine cytotoxic T lymphocytes." Biochem.Mol.Biol.Int.35. 1017-1027 (1995)
• [文献書誌] Suzuki,H.: "Evidence for the production of platellt-actirotion factor by murine embryos and its putativo role in the maternal pyhsiclegy." Biochem.Mol.Biol.Int.37. 612-626 (1995)
• [文献書誌] Nishihira,J.: "Identification of the electrophilic substratte binding site of glutathione stransferase P by photaaffinity labeling." Eur.J.Biochem.232. 106-110 (1995)
• [文献書誌] Nishihira,J.: "The C-terminal region,Arg201-Gln209,of glutathione s-transferase P contributes to stability of the actire site conformation." Biochim.Biophys.Acta.1252. 233-238 (1995)