研究課題/領域番号 |
07670177
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 實 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10080003)
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研究分担者 |
多田 豊曠 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (20106230)
早川 富博 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50172995)
国松 己歳 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (70145746)
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キーワード | 虚血再灌流 / μ-カルパイン前駆体 / 脳神経細胞死 / カルパイン阻害剤 / 神経芽細胞腫 |
研究概要 |
1.梗塞、虚血下におけるカルパインの動態を検討するために活性化カルパインとその前駆体を認識する抗体を作成した。活性化カルパインに対する抗体はμ-およびm-カルパインに共通な活性中心近傍のアミノ酸配列を認識するもので両者に共通であり、他方前駆体を認識する抗体はそれぞれの大サブユニットN末端に対する抗体で2種類のカルパイン前駆体を識別し、且つ活性化によりN末端は遊離するので、それぞれの前駆体に特異的である。 2.これ等の抗体を用いて正常心筋および虚血・再灌流後の心筋をはじめ他の多くの臓器組織を染色した。その結果は大部分の組織に顕著な染色像はみられなかったが、末梢及び脳の神経細胞は極めて特色ある染色像を示した。即ちμ-カルパイン前駆体抗体により神経細胞の核は濃染され、且つ虚血・再灌流により、ほとんど完全に消失した。この変化はargyrophilIII銀染色による神経細胞の変性像と一致した。したがって、以後は心筋梗塞の実験を脳梗塞による障害実験に転換することとした。 3.μ-カルパイン前駆体抗体による核の染色は神経芽細胞由来の培養細胞系においても証明されたので、培養細胞を用いて低酸素下でμ-カルパイン前駆体が消失する条件を検討した。消失は経時的であり、且つカルパイン阻害剤の添加により著しく抑制されることが証明された。 4.以上の結果は、神経細胞核に何故大量のμ-カルパイン前駆体が集中して存在するのか、その原因は現在のところ不明であるが、脳神経細胞が虚血・低酸素に特別高い感受性を示す理由が、核内μ-カルパインの活性化によるものである可能を示唆するものである。
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