悪性リンパ腫については、現在までに計86例で、EBER-ISH法によってEBVの関与を検索した。ホジキン病40例中17例、42.5%、組織型別ではMC型12/22、NS型3/8、LP型1/5、LD型1/5でEBVgenomeが陽性であった。非ホジキン・リンパ腫では、Bリンパ腫32例中のバ-キット型1例、Tリンパ腫14例中の7例がEBER-1陽性であった。末梢性Tリンパ腫での高いEBV陽性率が注目されるが、中国のリンパ腫でも同様の傾向が報告されていて、今後のより大規模な調査と発癌への関与の研究が必要であると思われた。 ネパール王国トリブバン大学病理およびパタン病院病理における過去2年間の生検、切除例より、悪性リンパ腫24例、胃癌57例を得てEBER-1ISH法により検索を行った。ホジキン病8例中7例(すべてMC型)が陽性、非ホジキン・リンパ腫はBリンパ腫14例、Tリンパ腫2例であり、バ-キット型の1例のみが陽性であった。胃癌では、57例中1例のみにEBV関与が認められた。この例は、リンパ上皮腫様の胃癌であった。H.pyloriは、EBV陽性の1例を含む16例に陽性であり、低分化癌での合併が高頻度にみられた。NPCのリンパ節転移の1例もEBV陽性であった。 本邦とネパール王国例を比較すると、ホジキン病におけるEBVの関与は、ネパール王国でより高率のようである。ホンジュラスでは米国ロスアンジェルスに比べて、ホジキン病にMC型が多く、EBV陽性例も多いという報告と同様の傾向が窺われる。胃癌については、EBVの関与は、本邦(全胃癌の約6.0%)と同等かやや低いと推測される。両疾患とも、今後症例数を増やしてさらに検討の必要があろう。
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