研究概要 |
本研究は癌抑制遺伝子p53と、DCCがそれぞれ存在する染色体17,18の数的異常を胃癌組織切片上で検索し、それぞれの染色体の2倍体から多倍体あるいはモノソミへの変化を検討し、同時にPCR-LOH法を用いてp53及びDCCのallelic lossを検出し数的異常との関係を解明することを目的とした。 まず、凍結切片とホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いたin situ hybridizationの比較を行ったところ後者の方ですぐれた結果を得られた為、以下の研究は凍結切片のかわりにホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて行った。ビオチン標識プローブを蛍光色素とペロキシダーゼ反応で検出する方法を比較検討したところ、前者の方が染色体数の計測が容易であった。またジゴキシゲニン標識に比べ、ビオチン標識の方が良好な結果が得られた。 染色体の数的異常とallelic imbalanceの比較では17、番染色体にallelic imbalanceのみられた33例、18番染色体にallelic imbalanceのみられた20例についてFISHを行いそれぞれ28例、18例で良好な結果が得られた。、17番染色体のpolysomyは14例にみられた9例がpolyclonalであった。18番染色体のmonosomyは2例、polyclonalは7例でmonsomyは2例にみられ、これらの症例では同染色体上の遺伝子は必然的にallelic lossを呈すると考えられる。またpolysomyの症例のうちtrisomyでは必然的に50%のallelic imbalanceを呈すると考えられ、PCR-LOHでみられる。allelic imbalanceは必ずしも遺伝子の選択的な物理的欠質を意味しない。A llelic imbalanceの解析には遺伝子に特異的なプローブを用いたFISH法によりcopy数を直接する事が必要と考えられる。
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