最近開発された免疫不全マウスALY/Nsc Jcl-aly/alyマウスにおいては、胆管系に自然発生的に炎症所見が認められ、胆管上皮に種々の変性像、偽幽門腺化生、胆管破壊像が見られる。一方、このaly/alyマウスはヒトのシェ-グレン症候群の動物モデルとしても注目されており、シェ-グレン症候群と原発性胆汁性肝硬変(PBC)との合併例が少なからず見られる点からも関連性が注目されている。このaly/alyマウス肝内胆管上皮にはまた、好酸性の胞体を有する上皮の出現と、これに接触する微細顆粒状胞体を有する細胞の出現することが発見された。この好酸性物質は免疫組織科学的検討の結果、シスタチンC、ガストリン、セロトニン、ソマトスタチン等の消化ホルモンに陽性反応を示し、一方、PAS染色、アルシャンブルー染色、といった粘液染色、グリメリウス染色、フォンタナ・マッソン染色といった好銀性染色には陰性であることを見いだした。これら肝内胆管の異常は、PBCに特徴的とされる慢性非化膿性破壊性胆管炎に類似していると考えられ、C型肝炎に伴う肝炎性胆管傷害との異動を考察する上でのモデルとして有用である可能性があり、今後その病態についてさらに検討、解析中である。
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