アミロイド沈着臓器から水抽出によりアミロイド線維の抽出をおこなった。さらに7M尿素を加えた試料緩衝液に溶かしたのち、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけてペプチドを分離した。主たるペプチドのバンドを含むようにゲルを切りだし、PVDF膜上にトランスファーし、これを自動エドマン分解にかけてアミロイド蛋白のアミノ末端の配列決定をおこなった。結節性の肺アミロイド症ではλのIII型の一次性アミロイド症であることが確認された。扁桃に限局したアミロイド症も一次性アミロイドであることが判明した。 ポリニュロパチー症状を示す一例は免疫染色と遺伝子診断から30番目のバリンがロイシンに変異した異型トランスサイレチンがアミロイドとして沈着した家族性アミロイド症であることが判明した。 炎症に伴って誘導されるSAAを代表とする急性期蛋白がサイトカインの誘導によって、肝で合成され、炎症部位に達して組織障害や抗炎症に働き、炎症を鎮静化する。このシステムの概説を病理学大系にまとめた。 子宮頸部や頭頸部において外来性のウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)が腫瘍形成に関与しているかを調べる目的で、腫瘍からDNAを抽出してPCR法によってHPVゲノムの検出を試み、さらにインサイツハイブリダイゼーション(ISH)によって腫瘍部にHPVゲノムが局在することを確かめた。 子宮頸部病変では扁平上皮癌部の90%に悪性型HPVゲノムが検出されたが、頭頸部では食道癌と扁桃癌にHPV52bと16型が認められたのみであった。 中耳に発生した稀な腫瘍である乳頭腺癌の症例報告を文献的考察と鑑別診断を合わせておこなった。 耳下腺浅葉に転移した皮脂腺癌の症例、13年間再発を繰り返す小唾液腺由来の硝子化明細胞癌の症例、硬化型骨肉腫の症例、甲状腺への血行性転移をきたした声門下癌の症例、側頭骨疣状癌の症例をそれぞれ報告した。
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