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1996 年度 実績報告書

潰瘍性大腸炎の異型および癌化に関する遺伝子解析

研究課題

研究課題/領域番号 07670203
研究機関独協医科大学

研究代表者

藤森 孝博  獨協医科大学, 医学部, 教授 (30095385)

キーワード潰瘍性大腸炎 / 発癌 / dysplasia / K-ras遺伝子 / P53 / DCC遺伝子 / 免疫組織化学 / PCR-RFLP
研究概要

潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過例には高率に癌が合併することから,UC合併癌(UC-Ca)の前癌病変としてdysplasia(異形成)が重要視され,炎症-異形成-癌といった発癌への一連のシーケンスも想定されている.しかしながら,肉眼形態的に異形成とUC-Caの鑑別は困難であり,病理組織学的には,異型上皮における炎症性・腫瘍性の鑑別,極高分化腺癌の診断がしばしば問題となる.そこで我々は,UC症例を対象に以下の検討を行い,UC-Ca診断における遺伝子工学的手法の有用性について検討した.
1)PCR-PFLP法によりK-rasの異常を検討したところ,癌ないし異形成でコドン12の変異が検出されたが,この頻度は一般大腸癌より低かった.2)P53ポリクローナル抗体(CM1)を用いてLSAB法を行い,diffuseないしintermediateの染色性を陽性とした.癌で100%,癌合併症例の異形成で約80%,炎症性異型上皮で約45%と,一般大腸癌に比し高率な陽性像を認めた.癌非合併UCにP53陽性例はみられなかった.3)DCCコドン201にはアルギニンとグリシンの多形性が存在する.PCR-RFLP法では,癌合併の有無に関わらずUC症例大腸組織の約80%にグリシンタイプがみられ,正常人抹消血を用いた対象17%と比して明らかに高率であった.
上記の結果から,サーベイランスの際に,生検組織のP53が陽性であれば癌の存在が疑われるものと考えられた.UCの発癌に際してP53とDCCが有用な遺伝子マーカーとなる可能性が強く示唆されたが,DCCコドン201多型性の関与については,RFLP法の問題点である再現性や検出感度を考慮し,自動シーケンサーによるDNA塩基配列の解析等,より詳細で精度の高い検討を加える必要があるものと思われた.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 戸田潤子,藤盛孝博: "潰瘍性大腸炎の癌化と遺伝子異常" 医学のあゆみ. 176・13. 867-869 (1996)

  • [文献書誌] Ajiki T,Fujimori T,Yamamoto M,Kitazawa S,Maeda S,Saitoh Y: "K-ras gene mutation in gall bladder carcinomas and dysplasia" Gut. 38・3. 426-429 (1996)

  • [文献書誌] 青山伸郎,南利江子,藤盛孝博,前田盛: "DCC遺伝子" 日本臨床. 54・4. 972-980 (1996)

  • [文献書誌] 長廻紘,藤盛孝博,戸田潤子: "IBDにおける発癌-内視鏡診断とサーベイランス-" medicina. 33・8. 1474-1478 (1996)

  • [文献書誌] 小野祐子,佐野寧,上田善彦,長廻紘,藤盛孝博: "潰瘍性大腸炎におけるdysplasia-carcinomaの遺伝子変化" 病理と臨床. 15・4(未定). (1997)

  • [文献書誌] 藤盛孝博 他: "内視鏡のみかた" 新興出版(藤盛孝博編)(未定), 300 (1997)

  • [文献書誌] 藤盛孝博 他: "早期大腸癌内視鏡ハンドブック" 中外医学社(多田正大編)(予定), 350 (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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