研究概要 |
B細胞性慢性リンパ性白血病群(B-CLLs)はFAB分類によって免疫形質、形態の点から以下の8群[chronic lymphocytic leukemia(CLL),CLL of mixed cell type(CLL/PL),prolymphocytic leukemia(PLL),hairy cell leukemia(HCL),HCL variant(HCLV),splenic lymphoma with circulating villous lymphocytes(SLVL),leukemic phase of non-Hodgkin's lymphoma(NHL),lymphoplasmacytic lymphoma with peripheral blood disease(LPL)]に分類されている。しかし、これらの群のなかで、CLL,CLL/PL:PLL,HCL:HCLV,SLVL:LPLの間では形質的に極めて類似していることを明らかにした(第57回日本血液学会総会、1995年6月、第37回日本臨床血液学会総会、1995年10月)。また、本邦のHCLでは形態学的には典型的であるが、免疫形質ではHCLの診断基準を満たすのに必要な形質を欠く例の存在を見出した(Kondo,H.,Takeuchi,H.,Katayama,I.:Leukemia 10,1996)。現在では、本邦のHCLやHCLVが臨床的および、免疫形質の点からは明確には鑑別出来ないこと、また本邦HCLVは形態学的特徴を除いては欧米HCLVと異なる点が多いことを見出している(Katayama,I,Takeuchi,H.,Kayano,H.:26th Congress of the Int.Soc.of Haematol.,Aug.,1996)。抗CD40単クローン抗体(MAB89)刺激によるB-CLLs細胞の潜在性免疫学的性格の解明については、B-CLLs由来細胞株(FH-5)を用いてMAB89の3種の存在様式(可溶性、マクロファージ捕捉性、固相性)によるFH-5細胞の免疫グロブリン(IgG1-4,E)の産生の違いや、固相化MAB89と各種サイトカイン(IL-2,IL-4,IL-6,IL-7,IL-10,TNFα,TGFβ)の同時刺激によるIgE産生について検討した。MAB89は、マクロファージ捕捉および固相化の場合に可溶性の場合より強いIg(特にIgG1やIgG4)の産生誘導能を持っていた。IL-4,IL-10,TNFαもMAB89のIgE産生(IgE isotype switch)誘導を促進した。HCL,HCLV,CLL,PLL,SLVL,NHL,LPLなどのB-CLLs白血病細胞のMAB89単独あるいは、各種サイトカイン(IL-4,IL-10,TNFα,TGFβ)との混合刺激によるIgE isotype switchを検討したところ、NHLとSLVLを除くすべての群で強いIgE isotype switchが認められ、さらにすべてのサイトカインによってそのMAB89の作用の促進を認めた。
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