研究概要 |
我々は逆転酵素(RT)-PCR法により、下垂体腺腫に成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)の受容体GHRH-RのmRNAが発現しているか否かをしらべるために、20塩基の5',3'-プライマーを合成し、PCRにより、255塩基再のcRNA産物を得、これをプローブとし、各々の組織から抽出したtotal RNAを試料とし、RT-PCRを行った。電気泳動上のバンドの強さを内部コントロール(β-グロビン)のそれと対比し、発現の強さを各腫瘍につき検討した。38例の下垂体腺腫のうち、成長ホルモン腺腫GHomaにのみ強いGHRH-RのmRNAの発現を認めた。RT-PCRによっても、他の腺腫では微量の発現をみるのみであった。 In situ hybridization(ISH)による分析のため、標本には4%パラフォルムアルデヒド固定、パラフィン切片を用い、cRNAプローブをジゴキシゲニンで標識し非放射性ISHを常法により行ったが、最終的な着色反応はアルカリフォスファターゼの酵素組織化学反応を用いた。メッセージの多いと思われる若年女性の下垂体のみで、GH細胞にGHRH-R mRNAのシグナルを確認した。プロラクチン細胞には明かなシグナルを認めなかった。 ISHによって受容体の如き微量のmRNAを細胞内に同定するには、更に感度の高いISHの方法を加えることが必要と思われた。現在、組織切片上で、RT-PCRを行いISHを施行する方法を開発し、感度を大きくあげることを計画中である。
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