研究概要 |
昨年度にひきつづき、免疫ビーズ法によるラット骨髄巨核球の精製分離・培養及び巨核球、前血小板(Proplatelet)の電顕観察を行った。 1)前血小板産生(Proplatelet process formation,PPF)に対する各種リコンビナント型造血因子の相乗効果についてのまとめ:これまでIL-6とEpoの間に低濃度においてPPFに対する相乗効果があることを認めた(Path Inter Vol.46,968-976,1996)。今回、TPOとIL-6,TOPとEpoの間にはPPFに対する相乗効果は認められないという結論に達した。 最近、キリンビール社より入手したラットリコンビナント型IL-3について、IL-3とEpoの間ではPPFを相乗的に促進させる″相乗効果″を認めたが、IL-3とTPO,IL-3とIL-6の間には認められなかった。 2)間質細胞および血管内皮細胞と巨核球の共生培養がIL-6.Epoと同様にTPOのPPF活性をもさらに促進させる″促進効果″の機序については、Mycoplasma感染の問題などで、当初に予定した実験計画を消化していない。 3)PPFの電子顕微鏡(TEM)による観察ではTPO,IL-6,Epoの各々の存在下においてPPFは顕著に産生されたが、各刺激因子間で巨核球とPPFの構造上の差異は認められなかった。分離膜形成の量的差異はありそうだが、形態学的な質的差はないと思われる。 4)最近入手したヒトc-Mp1(TPOの受容体)に対する抗体を使って、ヒト巨核球のc-Mplの局在を免疫電顕の手法で検討する機会を得た。CFU-Megから培養した巨核球を回収して免疫染色を施したところ、Demarcation membrane complex(DMC)および細胞表面の膜上に陽性所見を得たが、陰性コントロールとの比較を含めて検討中である。
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