1.Bcl-2蛋白の発現とレドックス誘発アポトーシスの相関性に関する検討 本年度はヒトT細胞白血病株化細胞CCRF-CEM、B細胞リンパ腫株化細胞MBC-1及びマウス培養細胞WEHI-164、2AD4にbcl-2をトランスフェクトし各々の細胞死誘導因子で細胞死を誘導、bcl-2のアポトーシス抑制効果について検討した。WEHI-164、2AD4にbcl-2蛋白発現量の差を認めたサブクローンが得られたため、各々のアポトーシス誘導に与える影響を解析した。TNF-αによるアポトーシス誘導時には両者ともbcl-2発現量に関係なく細胞死が誘導された。そこでH_2O_2、A23187で細胞死の誘導をかけたところH_2O_2についてはTNF高感受性の2AD4細胞でbcl-2蛋白によってアポトーシスが抑制された。しかもこの抑制効果はbcl-2蛋白の発現量とよく相関した。一方WEHI-164細胞ではアポトーシスの抑制効果は観察されなかった。A23187によるアポトーシス誘導では差は見られなかった。 2.細胞内情報伝達とBcl-2蛋白の発現に関する検索 IL-3依存性32D.3細胞を用いたトランスフェクタションではIL-3非存在下で誘導される細胞死に対してserine/threonin特異的Raf-1kinase、bcl-2がどのような効果を示すか検討した。単独のトランスフェクタント細胞ではbcl-2のみにアポトーシス抵抗性が見られたが更にRaf-1kinaseを導入することによって相乗的な抵抗性を示した。 3.Bcl-2蛋白の発現ベクターの作成 これまでのところpM5neo及びSRαを検討しているがベクターそのものの影響がでるものもあり今後の課題が多い。
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