研究課題/領域番号 |
07670241
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
豊國 伸哉 京都大学, 医学研究科, 講師 (90252460)
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研究分担者 |
山田 義博 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252464)
日合 弘 京都大学, 医学研究科, 教授 (10073131)
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キーワード | フリーラジカル / 酸化的DNA損傷 / 8-ヒドロキシグアニン / 鉄ニトリロ三酢酸 / 腎癌 / ras / p53 / 4-ヒドロキシ-2-ノネナ-ル |
研究概要 |
フリーラジカルによるDNA・蛋白の損傷・修飾が発癌過程で果たす意義について、鉄ニトリロ三酢酸によるラット・マウス腎発癌のモデルを用いて、以下の検討を行い、また新しい抗体を開発した。 1.本腎発癌モデルにおいては、投与初期に脂質過酸化や8-ヒドロキシグアニンをはじめとする酸化的に修飾されたDNA塩基が生成することがわかっていたが、今回ガスクロマトグラフィー・質量検出器を用い、初めてチミンとチロシンのDNA蛋白複合体が生じていることを明らかにした。この複合体は鉄ニトリロ三酢酸腹腔内投与後24時間で、最高値に達した。その生物学的意義はまだ今後の検討を要する。 2.鉄ニトリロ三酢酸投与により発生したラット腎癌および中皮腫を使用し、癌遺伝子であるH-, K-and N-rasと癌抑制遺伝子であるp53について変異あるいは欠損の有無を検討した。ras遺伝子については3種共に異常を認めなかった。p53については、腎癌12例中1例において、コドン246でGからTへの変異を認めた。これは異常なp53蛋白であることはウェスタンブロットで確認された。この腎癌は転移・浸潤傾向が強く、生物学的悪性度が高いことは、p53の機能と関連し興味深い。また、この変異パターンは8-ヒドロキシグアニンの生成で説明がつくものであった。 3.特異性の高い脂質過酸化物である4-hydroxy-2-nonenalとヒスチジンの複合体に対するモノクローナル抗体を開発した。この抗体はさまざまな酸化ストレスの系に有用であると思われる。
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