研究概要 |
平成7年度の研究実施計画に基づいて行った研究から新に得られた知見を要約する. 1.自己抗体の研修とSP120の機能解析に用いる抗原蛋白の調製 SP120のC末端領域を2種類の発現系(pETとpGEX)を用いて大腸菌に過剰発現させた.SP120の全コード領域の発現は,当初予定していたT7系の発現ベクターでは発現産物がほとんど封入体画分に入り,可溶化が困難なことから,SP120の機能解析に用いる必要性も考慮して,産物が可溶性になりやすいとされるチオレドキシン融合タンパク質として発現した. 2.SP120を含むhnRNPタンパク質に体する自己抗体の検出(スクリーニング) ラット核抽出液(全hnRNPの約90%を含む)を抗原とし,抗核抗体が陽性の患者血清,約100検体をイムノブロット法によりスクリーニングした結果,4例に抗SP120抗体が認められた.さらに,2例の血清は我々がhnRNPの新たな構成成分として注目している150kDのタンパク質(p150)と反応し,このうちの1つは高力価のmonospecificなものであった.この血清を用いてHeLa細胞の蛍光染色を行うと,抗RNP抗体の場合と同様のspeckled型の核内染色像が得られた.今後、この血清を利用してp150の性格づけを行う予定である. 3.抗SAR抗体の検出 上記患者血清のうち80検体について,^<32>Pで標識したマウスIg κ遺伝子のSARをプローブとしたニトロセルロース膜結合法によりSAR結合能を測定したところ,大半の自己免疫血清は正常血清に比べて有意に高いSAR結合能を示した.このうちで最も力価が高い血清からIgGを精製して,SAR結合活性がIgG画分にあることを確かめた.次年度は,より親和性が高い抗SAR抗体を探すとともに,SARをリガンドとしたアフィニティーカラムによりSAR結合抗体をさらに精製することを試みる.
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