研究概要 |
申請者らは、まず硬化巣内に存在するフィブリン、フィブリノーゲンが血管新生を促進することを証明し、そこにRGDを認識するインテグリンの関与を示した|Takei A, 1995|。加えて、血管造影や病理標本の連続切片による立体的新生血管の病理形態学的解析から、新生血管の起源が血管外膜由来であること|Kumamoto M, 1995|、また血管細胞増殖因子の発現母細胞を検証し|中川, 1994|、さらに画像解析を新たな手法として採用し総合的な解析を進行中である。腫瘍性血管新生については、腫瘍細胞由来増殖因子、組織の低酸素、ホルモンの影響について、in vitro血管新生モデルで、低酸素下のある種のヒト癌細胞等は、ヘパリン結合性増殖因子、uPAの関与により血管新生を促進することを明らかにした|Ishibashi H, 1995|。また、ヒトGlioblastoma細胞(U251)よりヒトVEGFcDNAをクローニングし、胎盤の血管形成にトロフォブラストが産生するVEGFが|Shiraishi S, in press|、また、培養細胞による実験|Hata Y, 1995|や、糖尿病ラットモデルの解析|Murata T, in press|により、糖尿病性の網膜内血管新生にグリア細胞や神経節細胞が産生するVEGFが重要な役割を果たす事を明らかにした。さらに、VEGFの発現調節にc-jun、c-fosなどの転写因子やある種のホルモンが深く関与している事も証明した|Hata Y, 投稿中|。 遺伝子導入に関する研究計画に関しては、センダイウイルスのコート蛋白を利用したHVJリポソームによる生体への遺伝子導入法に改良の余地があることが判明し、陽性荷電の脂質を用いたリポソームの|Yonemitsu,投稿中|を開発した。それにより、導入効率向上のを実現し、まだ標本数は少ないものの家兎頸動脈への遺伝子導入による病変を作りだすことに成功している。ただし、培養実験での遺伝子導入では細胞毒性の問題が未解決課題である。
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