研究概要 |
1.肺内分泌細胞を組織化学的に検討したが、neural cell adhesion molecule(NCAM),GTP-binding protein(Go),calbindin D_<28K>,synaptotagmin,synaptobrevinなど機能的の重要な物質が特異的発現していることがわかった。 2.ハムスター胎仔肺器官培養実験法を用いて、NCAMおよびE-cadherinに対する中和抗体、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドによる肺内分泌細胞の分化増殖への影響について検討したが、NCAM中和抗体で、内分泌細胞の出現が抑制された。 3.ハムスター胎仔肺期間培養実験法を用いて、epidermal growth factor(EGF)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドによる肺形態形成および肺内分泌細胞の分化増殖への影響について検討したが、著変認められなかった。投与方法に問題があると思われた。 4.ハムスターでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどについての既知の分子生物学的な情報が少ないことから、ハムスターのかわりにマウス(A/J)を用いた器官培養系を確立した。 5..マウス胎仔肺器官培養実験法を用いて、各種増幅因子の過剰投与に対する肺の形態形成、細胞増殖、および内分泌細胞の分化増殖への影響について検討した。用いた因子は、EGF,acidic fibroblast growht factor(FGF),およびbasic FGF,keratinocyte growth factor(KGF),hepatocyte growth factor(HGF),insulin growth factor-Iおよび-II,nerve growth factor,platelet derived growth factor-AAおよび-BB,transforming growth factor β,およびamphiregulin。EGF,acidic FGF,HGFにより肺は形態形成を軽く促進され、一方、basic FGF,KGFにより、形態形成は抑制された。また、EGF,aFGF,bFGF,KGFの高濃度投与により、内分泌細胞の出現は抑制された。 以上、肺内分泌細胞の出現には、増殖因子の調節が起こりうることがわかった。
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