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1996 年度 実績報告書

VCAM-1を介する赤芽球とマクロファージの接着複合体(赤芽球島)の機能的意義

研究課題

研究課題/領域番号 07670262
研究種目

基盤研究(C)

研究機関川崎医科大学

研究代表者

定平 吉都  川崎医科大学, 医学部, 講師 (30178694)

研究分担者 保田 立二  岡山大学, 医学部, 教授 (30092357)
和田 秀穂  川崎医科大学, 医学部, 講師 (70191830)
キーワードマクロファージ / 造血環境 / 赤芽球造血 / 脾臓 / リポソーム / エリスロポエチン / C-kit ligand
研究概要

目的:造血組織(マウスでは骨髄と赤脾髄)において、マクロファージは赤芽球島を形成し、赤芽球造血の主要な微小環境を構築していると考えられる。今回、マクロファージを組織より一時的、選択的に消失させるdichloromethylene diphosphonate封入リポソーム(MDP-liposome)をマウスに静注し、その造血への影響を検討した。
方法:BALB/cマウスを脱血処理し、MDP-liposomeを静注した後、ヘマトクリット値、網状赤血球数、白血球数、骨髄・脾臓の造血前駆細胞数の測定、フローサイトメトリーによる検索、免疫組織化学的および病理組織学的検索、erythropoietinやc-kit ligand発現のRT-PCR法による検索などを行った。
結果: MDP-liposome投与後では、骨髄のマクロファージは消失しなかったが、赤脾髄のF4/80^+マクロファージ数は投与後1日目から完全に消失し、6日目から徐々に回復した。脱血刺激群においては、脾臓での赤芽球造血は処置後1日目から見られ、処置後3日目での脾臓のCFU-E、BFU-E数は、それぞれ無処置マウスの30倍および7倍増加した。一方、脱血刺激+ MDP-liposome投与群では、処置後3日目での脾臓のBFU-E数は3倍増加したが、CFU-Eの増加は全く起こらず、赤芽球造血は7日目頃から徐々に明らかとなった。この脱血刺激+ MDP-liposome投与群に、骨髄細胞をM-CSFで6日間培養して得られたMac-1^+マクロファージ(10^7cell/mouse)を、処置後2日目に注入しても、脾臓の赤芽球造血の開始時期を早める事はできなかった。脾臓とは対照的に、脱血刺激+ MDP-liposome投与群の肝臓ではクッパー細胞の消失が見られたにもかかわらず、赤芽球系髄外造血が処置後2日目より12日目まで継続して見られた。一方、脱血刺激群では肝臓の赤芽球系髄外造血は4日目にわずかに見られたのみであった。RT-PCR法でerythropoietinとc-kit ligandの発現を調べたところ、脱血刺激+ MDP-liposome投与群では脾臓において、一時的なc-kit ligandの発現低下が観察された。Erythropoietinのメッセージは、腎臓では観察されたが、肝臓、脾臓、骨髄では認められなかった。
結論:マクロファージはマウス脾臓の赤芽球造血においては必須であり、後期段階における赤芽球島形成ばかりでなく、BFU-E→CFU-Eの増殖・分化にも重要な造血環境を提供していると考えられる。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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