研究課題/領域番号 |
07670263
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
荻生 俊昭 放射線医学総合研究所, 第5研究グループ, 総合研究官 (40106183)
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研究分担者 |
渡邊 文晶 放射能医学総合研究所, 第5研究グループ, 科学技術特別研究員
西村 まゆみ 放射線医学総合研究所, 第5研究グループ, 研究員
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キーワード | scidマウス / 免疫不全症 / 放射線感受性 / DNA損傷修復能 / 急性放射線障害 / 放射線発がん / 発がん感受性 / 胸腺リンパ腫 |
研究概要 |
SCIDマウスは免疫不全を有すると共に、放射線感受性が高く、ヒトの末梢血管拡張性運動失調症(AT)に類似した症状を示す。AT患者や保因者は発がんリスクが高いことが知られ、SCIDマウスは放射線高感受性モデル動物として、放射線感受性と発がん感受性の関連性の解析に有用である。急性障害実験で各マウスに3^〜8Gyの照射を行なった結果、50%致死線量は、SCIDマウスでは約4Gy、C.B-17マウスでは約7Gy、F1マウスでは約6.5Gyで、SCIDマウスでの最大耐用線量は3Gyであったため、長期発がん実験では各系統の8週齢雌マウスを用い、各々、0、1、2および3Gy照射の4実験群を設けた。発がん実験は経過観察中であるが、γ線の照射を受けたSCIDマウスは実験15週頃から死に始め、60週の時点で80%以上が死亡し、その大多数が胸腺リンパ腫を有していた(60〜87%、対照群での発生率は27%)。C.B-17マウスおよびF1マウス(60週現在、76以上生存)ではγ線照射による胸腺リンパ腫発生率は3%以下である。即ちscid変異をホモに有するマウスでは、放射線の致死感受性が高く、また、放射線による胸腺リンパ腫発生の感受性が高いことが示された。発生した胸腺リンパ腫の細胞膜表面抗原を解析した結果、ほとんどのリンパ腫はCD4^+CD8^+の比較的分化した形質を示したが、CD4^+/CD8-またはCD4-/CD8^+、CD3-、TCR-αβ-、TCR-γδ-、IL-2R^+の未分化な腫瘍細胞を含むリンパ腫も認められた。
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